埼玉医科大学 臨床工学科

安全工学研究室

川邉 学・本塚 旭

KAWABE Manabu

研究について

最新の研究テーマ

医療機関における安心・安全な電波利用の実現

医療機関内での電波利用の最適化を通じて、安全で信頼性の高い通信環境を構築する研究を行っています。特に、医用テレメータや無線LAN、特定小電力トランシーバなど、多様な無線機器が共存する環境下での電磁干渉の最小化に取り組んでいます。さらに、各機器が使用する周波数帯の効率的な管理や、電波利用状況のリアルタイムモニタリング技術の導入によるトラブルの早期発見を目指しています。この研究は、患者モニタリングや医療機器の運用における安全性向上に寄与しています。

図1.携帯電話を対象とした環境調査自動化システム
図2.ワンボードコンピュータを用いた無線LAN環境取得システム

医療安全向上のためのAIによるリスク管理とトラブル予測

医療現場でのリスク低減と安全性向上を目指し、AI技術によるトラブル予測や物体検出モデルの開発に取り組んでいます。医療機器や医療材料をAIで解析し、異常な兆候を早期に検出する技術や医療材料の取り違えを防止する研究しています。これにより、医療事故の発生リスクを最小限に抑えることが可能となり、患者の安全を確保するだけでなく、医療従事者の負担軽減にもつながります。この取り組みは、医療現場における事故防止や安全性向上に大きく寄与し、次世代の医療安全システムの基盤を築くことを目指しています。

図3.AIによる医療器材の識別
図4.医療器材のAI学習画像のデータ拡張法

研究概要

工学技術を活用した医療安全の向上を目的とした研究を行っています。主な研究課題として、安心・安全な電波の利活用をはじめとして、医療機器の遠隔モニタリングシステムやAIを用いた医療機械の自動判別システムの開発などを進めています。医療機関における電波の利用は、電波の医療機器への影響や電子カルテをはじめとした電波を利用したシステムの導入など様々なところで電波の利活用が進んでいます。安全に電波を利用するためには電波利用機器の使用ルールを定めておく必要があります。実際の医療機関における電波環境の収集を始め、医療機器への電波の影響を調査・分析することで安全で快適な電波利用を目指します。

教員からメッセージ

安全工学研究室では、所属学生が臨床工学技士として医療現場や企業で活躍するために必要な基礎知識と応用力を養い、安全技術の発展に貢献する研究に取り組んでいます。工学の力で患者さんの安心と医療の未来を支える技術を、一緒に創り上げていきましょう。

研究業績

【受賞】
1.本塚旭, 加納隆, 川邉学.医療機器学2023年度論文賞「既存の電流監視装置の機能を拡大した電流モニタリングシステムの開発」日本医療機器学会 2024年
2.川邉学.2021年度電波環境協議会表彰 電波環境協議会.2022年
3.川邉学.医療機器学2021年度論文賞「電磁環境の収集機能を有した医用テレメータ管理支援システムの構築」日本医療機器学会.2022年
4.川邉学, 本塚旭.第49回日本医療福祉設備学会 一般演題優秀演題賞「 ソフトウェア無線技術を使用した医用テレメータ電波管理システム」.2020年
5.川邉学, 本塚旭.第44回日本医療福祉設備学会 一般演題優秀演題賞.2015年

【論文】
1.本塚旭, 高橋咲菜, 川邉学, 加納隆.MCA無線の医用電気機器への影響調査と運用ルールの検討.医療機器学 94(3) 317-326 2024年6月1日
2.本塚旭, 木原静哉, 川邉学, 加納隆.既存の電流監視装置の機能を拡大した電流モニタリングシステムの開発.医療機器学 93(4) 454-463 2023年8月1日
3.川邉学, 加納隆, 小林直樹.電磁環境の収集機能を有した医用テレメータ管理支援システムの構築.医療機器学 91(6) 499-509 2021年12月
4.Manabu Kawabe, Eisuke Hanada.Continuous survey of the electromagnetic environment surrounding medical telemetry systems.EMC Sapporo & APEMC 2019 4-4 2019年6月
5.Manabu Kawabe, Takashi Kano, Sueda Takatoshi.Managing staff location using smartphones.IFHE Digest 2017 38-40 2017年1月
6.Manabu Kawabe, Yasuyuki Miwa, Takashi Kano.Study on Medical Equipment Location Systems that use RFID Technology.WORLD CONGRESS ON MEDICAL PHYSICS AND BIOMEDICAL ENGINEERING, 2015, VOLS 1 AND 2 51 1558-1561 2015年